母と娘の推し活日記

映画と舞台とエンターテイメントまみれの日々

尺終:シアタートーク⑥

2023年10月25日 新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

中井:400年前の話が地続きになっている喜び、生で感じられる感覚がありますね。残念ながら時間が迫ってきてしまったので、最後にそれぞれ、ひと言お願いします。

本:ここに来ている方はもう観ているので(笑)、観てない人に観てもらいたいんだよね。どうやったら来てもらえるのかな…口コミ? こういう演劇があるって(体感してもらいたいし)、人生の縮図を感じてるカンパニーだから。

(今回改めて思ったのは)稽古場で声を聞いていて、すごく伝わりやすい。実は自分はシェイクスピアに全然興味がなくて(会場爆笑)、頭良さそうな感じでキライだった(笑)。でも稽古場にいると「作品が入ってくる」んだよね。人間性だったり、キャラクターだったり、「人間」を生活にもってきて、シェイクスピアは作ってくれてるんだなって。

舞台の上で生きている、この限られた時間と限られた日数を、より多くの人、いろんな人と共有したいので、いろんな人にSNSとかで広めてください。

浦井:2作同時上演なんですけど、1、1、1、1、っていう最近あんまりないスケジュールに…

岡本:ちょっとそれじゃ意味がわからないよ(岡本さんナイスフォロー 笑)

浦井:1作品1日1公演、っていう。最近の僕にはあまりないスケジュールで。2作品だから、それぞれ数えたら10公演ちょっとずつしかない。※10/25時点

(ソニンが寂しいからあと何日、とか数えないようにしている、と話していたのを受けて)僕は数えてしまってるんですけど(笑)、個人的にはもうすでに寂しくなってきています。もうこのセリフを言うのも、そんなに回数ないんだなと思うと。

ソニン:それで今日はあんなに距離が近かったの!? (クローディオがイザベラにすがるシーン) 健ちゃんは気合が入ると、どんどん距離が近くなってくるんですよ。(お客さんにウケたから、よけいに熱が入る? 芝居を立てる、という話から) 

昆虫がくっついてくるみたいに。虫みたいだった(笑)

浦井:確かに合体してる感じが虫(笑)。

ソニン:あんな取っ組み合いみたいになる座組は、あんまりないみたいですよ(笑)

浦井:(自分の役は今回、シェイクスピアなのに)両方、独白がないんですよ。相手に伝えることで吐き出してる。(だから)コミュニケーション取りたい欲求が強いのかなと。(役柄が?浦井くんが?) 

岡本さんも言ってましたがシェイクスピアだからちょっと(難しいんじゃないか)と思っているお友達を引き連れて来てくれると嬉しいです。

水たまりに感謝(笑)

中井:(舞台セットに)水たまりがあってよかった、と思いましたよね(会場拍手)

浦井:終わりのあのシーン、稽古場で岡本さんがニヤっと笑って僕を蹴ったんです。稽古のけっこう 初期に。それを見た鵜山さんが、それいいじゃん、滴っていいじゃないか、って言って。衣装さんが泣いてますよ。

中嶋:ずぶぬれで結婚、いいじゃんって言ってね(笑)。

*********

中嶋:ほんと、奇跡だと思う。演じることも、お客さんがこうやって客席にいることも。コロナ禍になって、戦争もあって。演じることもできない、お客様に観てもらえない時間があった。もちろん私も生活があるし、家に帰れば子供もいるし洗濯もしなきゃ、って。でも、ここに来たら、こんな奇跡があるんだ!って思える幸せ。

コロナを経て「いつか」なんてないんだって思った。出会える人、ものには出会えるときに出会っておきたい。お客様と、ここ初台で舞台を作れることが本当に嬉しくて。

ソニン:(涙をぬぐって)今の朋子さんの話を聞いて私も泣けてきちゃって…(涙声) 初日に、こんなところで笑いが来るんだ! 滑稽に見えてるんだ!って(驚いて嬉しかった)。すごい発見。

イザベラはいたって真剣なんです。鵜山さんは「イザベラは感情のジェットコースターに乗せる」って言われて。

鵜山ソニンだからね(笑)

ソニン:ここにはグッと感情を込めたい、とか稽古場で一生懸命、過呼吸になるくらいやって、(家に帰ると倒れ込んで)電池が切れるってこういうことなんだな、って実感する2か月間を過ごしました。

でも(初日の経験を経て、日々公演を重ねて)これはお客様と作ってるんだって実感しました。コロナ中は、(お客様の反応を)ダイレクトに感じられない日々が続いて、どうやって腑に落としたらいいんだろう、と思っていた。

相手が変われば芝居も変わる。毎日毎回変わる。そうやって相手やお客様の反応を見ながら芝居を作っていける幸せを感じます。(2作品、しかもこういう作品を同時にやる)クレイジーなことはなかなかないし、とても贅沢なこと。

シェイクスピアは難しい、と思っている方にもぜひ観てもらいたい。ぜひ、あの、ハッシュタグ?つけて宣伝してほしいです。コースターも4種類あります!(笑)

鵜山:舞台稽古からあれよあれよとここまできた。想像以上にみんな素晴らしいんですよ。この4人は今が本当に男ざかり、女ざかり、人間ざかり。演出という立場を離れても、「おお!」「あー!」と驚くことが多いカンパニーなんです。ぜひまた観てやってください。

中井:この中劇場を使える舞台っていうのは、あんまりないんです。そういった意味でも貴重な公演なんです。

※中井さんがパンフの充実ぶりを紹介、解説のほかにも歴史劇シリーズの写真も載ってます、と写真を見せた時に、岡本健一さんが「やめて~!泣いちゃう」と。セットに置いてある王冠などに気がつかずあんまり愛着なさそう…とツッコまれてた岡本さんが、感極まりそうになっていたのが印象的。

尺終:シアタートーク⑤

2023年10月25日 新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

(この座組、カンパニーは劇団のようですね、という話)
岡本:(つくづく)劇団じゃなくてよかった(笑)。

山:木下(浩之)さんが(制作発表)会見で「遠距離恋愛」と言っていた。その感じ。

岡本遠距離恋愛はしたことないけど(笑)、みんなそれぞれの場所で頑張って、作品のためにまた集まって、余計なことを考えずに作品のことだけを考えていられる。

松岡(和子)さんが言ってた「パワハラ、セクハラ、どっきりカメラ」これってもう今、演劇でしかできないでしょ? 舞台の上では何をやっても、とりあえず捕まらない(笑) だってシェイクスピアが書いたんだし!って(言っておけばいい 笑) だから舞台が好きなんだよね(笑)。

*********

中井:浦井さんは、この座組のシェイクスピアシリーズ(に参加したこと)が、大きな転機になったのでは?

浦井:そうですね。「終わり」は、(父の)お葬式のシーンからスタートするんですよね。そのシーンで(母親役の)那須さんが、(中島)しゅうさんの塗香(ずこう)をつけてきたことがあって。その匂い、香りをかいだ瞬間、全部ぶわーっと思い出して。いろんな景色が見えてくるんです。体感としてそういうことはありましたね。

塗香塗香は粉末状にされた香原料を調合したお香。仏事やお葬式のときに体を清めるためにつける

感覚をシェアできる安心感

中嶋:(このカンパニーのメンバーそれぞれが)節度をもった大人のひとたちなんですよね。年数を重ねているので、言いたいことはちゃんと言ってくれる。言いにくいことも上手に伝えてくれる。そうやって助けてくれるし、あのときのあれさあ、と(思い出や感覚を)シェアできる。安心感があるんですよね。

ソニン:私は鵜山カンパニーは14年ぶりで。あのときはあふれんばかりのエネルギーがあったと思うんですけど、その間に健ちゃんとは別の作品で会ったりして、また今回戻ってこれて。

それまで客席で観てて、なんで私はここにいないんだろう、なんて思ってたんですけど、(このカンパニーでの最初の舞台)「ヘンリー六世」のメンバーだったことが、本当に誇らしくて。あのときは11時から夜の10時まで劇場にいました。でもここで芝居ができていること、劇場にいる自分が嬉しくて、この人たちと芝居ができているのが本当に楽しくて。

イザベラのように慈悲を持って、自分は何ができるだろう、って考えられる。このカンパニーは慈愛がすごい。豊かだなって。この劇団のようなカンパニーにいられることが本当に楽しくて毎日が幸せです。

→シアタートーク⑥に続きます。

尺終:シアタートーク④

2023年10月25日 新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

中井:「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」それぞれリンクしているような、似たような役柄に絶妙になっていると思うんですが、そこは考えられていたんでしょうか?

鵜山:役は「あみだくじ」みたいに、たどっていったらこうなった。最初に(そういうリンクする役にする、という)企画があったわけじゃなかった。

岡本:「終わり」のフランス王はかなり老けてて。死にそうだ、という設定だからそうやってるんです。

シェイクスピアの戯曲って、台本に句読点が無いんですよ。でも僕は忠実にはやらないんですね(笑)。(自分のやりやすいように句読点やブレスを入れたりして?)うまくやってたつもりだったんですけど、ロングブレスで、息継ぎしないで一気にしゃべってください、と言われました。そういう老人にしてください、と。

鵜山:息をするのも忘れるくらいの老人、でやってください、と(笑)。

岡本:(役の切り替えの話)衣装が全然違うので、衣装をまとうと切り替えはできた。ただ、初日のあとダメ出しがあって。(死にそうなフランス王なのに)元気過ぎる!と(笑)。

*********

中井:舞台装置が一方は壁、一方は布、と大きく違いますね。プランはどのように考えたのでしょうか?

鵜山:頭の中にあったのが、稽古場で話してるうちにできた。(美術の)乘峯と(ここあいまい)。この舞台、(後ろから前に)傾斜がついてるんですよ。14年前は大丈夫だったのに、ダメ出しするために舞台に上がると転んだりする(笑)。

中井:セットに、現代にしかないアイテムがありますが?(シェイクスピアの時代には無かったアイテム)

鵜山:そこは2つの作品で変えている。
「尺尺」は街の中、ということでノイズというか、廃棄物が溜まってる世界観。当時も粗大ごみみたいなものはあったんじゃないかな、って。モノは違ってもあったんじゃないかと。

(上手に座っていたソニンが、あ! ここに下着が!!と気がつく)

浦井:(下手奥を指さして)王冠がありますよね。あれはリチャード三世の時のものです。

(岡本健一さんが気がついて、おお!そうなの!?と)

浦井:木馬もありますよね。

(岡本さん、全然愛着無い感じですが…(笑)、と中井さんにツッコまれる)

岡本:「終わり」になると、あれが無くなるんですよね。

鵜山:あちらは「自然」に近づけてる。(舞台となるフランスの)ルシオンってところはかなり田舎だっていうことなので。

ソニン:「尺尺」は最初に音楽が流れてるんですよね。「終わり」は一切音がない。「終わり」は私は二幕からの登場なので、楽屋にいると、あ、急に始まった!って。

鵜山:「尺尺」は三文オペラの作者の音楽を流しています。

ソニン:やればやるほど2作品の違いを感じます。

*********

中嶋:ここにいると「あ、演劇なんだ!」って(実感する。すごくワクワクした様子です声が弾んで)。演劇が世界を変えていく、この感じ!

ヘレナは演じることで何かを得ていくんですけど、一方でぺーローレスは演じることで人生をロストしていく。でも本来の自分に戻るんですよね。幕が上がって、自分がしゃべる、言葉を発することで、お客様にも伝わって(場が)熟していく。それが演劇こそが持つマジックだなって。

→シアタートーク⑤に続きます。

尺終:シアタートーク③

2023年10月25日(水)新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

(男女で見方が違うかという話になり)
中嶋:大いにあるんです!(力説) 稽古場で、こちらは一生懸命やってるだけなのに「こええな、女はー!」と言われたり(苦笑)。性別によってこんなに違うんだと(驚いた)。

ソニンちゃんと女子トークしながら「わかるわかる!」って言ってると、それを鵜山さんは黙って見てるんですね。

この座組は女性が少ないんですけど、女性4,5人で集まって「女性はこうなんです!」「愛はそういうことじゃない」、「あそこはお互いライバル心もあるはず」とか訴えると、鵜山さんは「なるほど…」「宿題にさせてください」と(笑)。

岡本:(鵜山さんに)ところで、その宿題は本当にやってるの?(会場 笑)

鵜山:やってますよ(笑)。やってるというか、ずっと考えてて、ストレスが積み重なって、(考え続けてると?)ストーンと落ちることがある。(落ちる=腑に落ちることがある、とかアイデアが降ってくる、という意味?)

**********

浦井:(自分が演じるのは)かなり自分勝手な人物。男性陣は、女性をあの女!あの女!って言うセリフが多い。今やったらそれはダメでしょ!っていう感じなんだけど、共感できる部分もあったり。何というかすごく自由。シェイクスピア(という劇作家)の懐の深さを感じます。

ソニン:(クローディオとイザベラのシーン)あんなに暴れるとは…(笑)

浦井:プロデューサーさんがすごくシェイクスピアが好きな方なんですが、「終わりよければすべてよし」のバートラムが(ダイアナを)くどくシーンを見て、俺ならコロッといっちゃうね!って言ってて(笑)。←(自分がバートラムならダイアナにコロッといっちゃう、という意味?それとも自分が女ならバートラムにコロッといっちゃう、という意味?)

(バートラムに)共感はしづらいけど、一生懸命生きていて、自分の居場所を必死に探しているんだな、と(自分は解釈している)。母の影から逃げて、結婚から逃げて…(※クローディオ尺の話をソニンがしていたのに、急に終わりの話をする浦井くん。キャラクターの話として頭の中では繋がっているのだろうな)

ソニン:(語気を強めて)でもあんなに平気でウソをつくなんてすごいよね。!っていつも袖で聞いてて思うんですよ。

浦井:そういう人もいるのかなって…(笑)。「尺尺」で、生きるために妹に犠牲になってくれ、っていうシーン、稽古場でソニンが酸素不足で倒れたことあったよね? 岡本さんのフランス王に倒されて、兄に迫られて、というシーンを続けてやったことがあって。

ソニンシェイクスピアでは、息をしろ、と言われるんですけど、あのシーンでわーっと(立て続けにセリフを)しゃべってたら、息ができなくなって、視界が白くなってしまって倒れてしまったんです。脳が完全に動かなくなっちゃって。

岡本:何がいけなかったの?

浦井:浦井がいけなかった?(笑)

ソニン:(即答&力説)お・ふ・た・り ですよ!! 

岡本:僕らじゃないよ! シェイクスピアが書いてるんだから(笑)

ソニンシェイクスピアの脚本のト書きには、どう動くとかは何も書いてないんですですけど…。

*********

中井シェイクスピアには珍しく女性の第一声で始まる作品で、女性が活躍する物語なんですよね。そして女性同士が協力、結託する、という“シスターフッド”の話になっているな、と思いました。

ソニン&中嶋:うれしいーー!

岡本:(女性陣を見て)ほんと幸せそうにしゃべるよね(笑)。

→シアタートーク④に続きます。

尺終:シアタートーク②

2023年10月25日(水)新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

ここで役者4人登場。左から鵜山/岡本/浦井/中嶋/ソニン。服装→岡本…トップスグレーのニット?/浦井…上下黒。上はシースルー素材?/中嶋…茶色ワンピース/ソニン…白いジャンパースカート

**********

中井:それではまず、ひと言ずつお願いします。今回のオファーがあったときにどう思ったか、また実際にやってみてどう思ったか。

岡本:僕は仕事は断らないので。

(会場:笑)

話が来たら受ける。2作品同時? どんな風になるのかな? また(あのメンバーで)集まれるんだ、へー、って感じで(笑)。

本読みが始まってみて、今まで(このカンパニーの舞台? 自分の経験してきた舞台の中?)で一番、初日の空気が全く読めない。観た人はどう思うんだろうか? 何なのこの人たち!? こんな話をなぜわざわざ舞台にするのか? とか(お客様が)思うんじゃないかと心配になった。

あ、鵜山さんとは会話ができるようになりました。最初は会話にならなかった(笑)。

鵜山:あれ? 演出家としては(ちゃんと)聞いてくれてると思ってたんだけど(笑)。 だって1+1=2、なんて面白くないじゃない? 

岡本:(笑)やってて楽しい。本番に入るまでわからない。稽古と舞台は全然違う。

中井:では次に浦井さん。

浦井:お客様はここで笑うんだ! この単語、この文体で笑うんだ! そこで笑うんだ! (という気づき、驚きがあって)、そこを「立てる」ようにしました。(強調する、というか芝居的にフックにする、という意味?) お客様とワイワイガヤガヤと(シェイクスピアが舞台を作っていた時代みたいに?)作っていける。お客様から学んでいる。役を愛してもらって感謝です。

中井:浦井さん、本当に軍服が似合いますよね! (客席から大きな拍手)

浦井:(照れながら)前田(文子)さんのお衣装なのに、(鵜山さんが)全部前を開けてって。普通に着させてくれない(笑) (監獄に)捕まってるんだからって。

中嶋:「ヘンリー六世」のときは、三部作、3本だったから、今回も、まあできるかなー?って思ったんですけど。違う話を2本演るのは大変でした(笑)。トリッキーな作品で、ハードルがすごく高い。

実は幕が開くまで、両作品とも終わり(ラスト)が定まらなかったんです。毎回、鵜山さんが「宿題にさせてください」って言って。でも(あんなに定まらなかったのに)幕が開いたら勝手に収まるんですね。それが衝撃で! すごくいい経験になりました。

中井:(構造が)似ている2作品、似てるからごちゃごちゃになりませんでしたか?

ソニン:なりますなります! 「終わりよければすべてよし」でバートラムに「あなたの名前は?」って聞かれたときに思わず「イザベラです」って言ってしまったり、名前をよく間違えてました。(中嶋さんと頷き共感しあう)

「伯爵」/「公爵」とか、「処女の操」/「貞潔の誓い」とか。言葉が似てるから、稽古中は、よくこんがらかってました。訴えるのは両方私ですしね。

新国立劇場シェイクスピアシリーズの座組に呼ばれたのが久しぶりで)毎回、私は呼ばれなかった~って、いつも客席で(残念、悔しいって?)思っていて。そしたらある日、稽古場、別の作品で稽古場のスタジオが隣で、そこで鵜山さんにばったり会ったんです。お久しぶりです! また呼んでください、なんて話したその直後に今回のお話があって。あれがきっかけだったのかなって。

鵜山:そうですよ。

ソニン:えーーー! 

鵜山文学座では大掃除に来ていた人に、次の公演に声をかける、とかよくあるんですよ(笑)。やっぱり、顔を見ている人に声をかけたくなる。

ソニン:そしたらあの場所は神スポットだったんですね! 

鵜山:いや「呼ばれた」んだと思う。運命ですよ。

ソニン:鵜山さんのドヤ顔、初めて見ました(笑)。

→シアタートーク③に続きます。

尺終:シアタートーク①

2023年10月25日(水)新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

司会の中井美穂さん登場。

俳優さんはいろいろ着替えたり準備があるので、と、まずは演出の鵜山さん登場。しばらくふたりでトーク

既に作品を観た人はどれくらいいらっしゃいますか?と聞くと、かなりの人が挙手。そしたらいろいろ話しても大丈夫ですね、みたいな流れ。

**********

中井シェイクスピアシリーズは14年前にスタートしましたね。こんなに長く続くと思っていましたか?

鵜山:いや、最初の3部作で達成感があったので、もうこれでいいかな、と思っていましたが、ずっと続いてきて。今回またオファーがあり、やることになりました。

中井:2009年の「ヘンリー六世」に始まって、2012年「リチャード三世」、2016年「ヘンリー四世」、2018年「ヘンリー五世」、2020年「リチャード二世」、そして今回、この2作品を同時に同じ劇場でやる、と聞いてどう思いましたか?

鵜山:プロデューサーが悪趣味で(笑)。そもそも「終わりよければすべてよし」ってタイトルが適当な感じですよね。いい加減。

2作品は驚くほど似ている。人間の過ちをどう修復するのか、というある意味倫理的(なテーマを持っている)だということに、やっているうちに気がつきました。

ベッド・トリックについて。心がけ次第で価値が変わる。見た目はどうでもいい、というか、あんなに嫌っていたのに美しく見えたり。敵が味方に変わったり、(簡単に価値観がひっくりかえることは)危険な反面、人間の心が変わっていくこと、(人間の心の面白さ)、そういうことを余裕を持って眺めていれば、風通しのよい生き方ができるのではないかと思う。

中井:400年前くらいまえに書かれた物語なのに、とても現代に近しい感覚がありますよね。

鵜山:コロナ、戦争、価値観がひっくり返るような出来事ばかり起きている。1600年代に書かれてるけど、400年前は遠くなかった。

中井:俯瞰で見る歴史のスパンというか、それはどういう感覚なのでしょう?

鵜山:(2009年の「ヘンリー六世」から)14年、その間に確実に「死」の世界に近づいているわけです。(自分自身も歳を重ねて死に近づいているということ?) 死んだ人、死の世界の人とも仲良くしないと、(と思うようになった)。コロナ禍でだいぶ(そういうことを)教わりました。

芝居にも教わった。400年、4000年、4万年も先に繋がっていく。400年なんてシェイクスピアを演じてたらすぐですよ。そういうスパンで(物事や芝居を?)考える。そういうゆとりが必要だと思う。というか考えないとやってられない年代なので(笑)。

ゆとりというかノイズ。不要不急のものが(人生を、心を)助けてくれる。コロナ禍になり、エンタメは不要不急だと言われたけれど。まあ演劇の居直り、というか、不要不急と言われたことへの復讐ですよ(笑) 

改めて稽古前に脚本を読んでみたら、なんでこの人がこのタイミングで出てくるのか?と思うことも。でもそういう余計なものが幸福をもたらす。整理されてない雑多な人が(いることには意味がある、的な?)。そういうエピソードを無くせば(話ももっとシェイプされるけど、的な話)雑味がいっぱいあり、だからこそおかしみがある。改めてシェイクスピアはすごい作家だなと。

中井:同級生や会社、こういう人、周りに、近くにいるな、とか思えます。

鵜山:つきあってると(=シェイクスピアの脚本に向き合っていると?)小ジワが伸びる感じがする。

中井:シワというと…?

鵜山:この人にも家庭、人生がある、と。(=人生ののりしろ的なことを感じるということ?)

中井:落語の世界に似てますね。世界の縮図というか。

あっ、なんか(袖から)足音が聞こえますね。

ーーここで役者4人登場。

→シアタートーク②に続きます。

【目次】シアタートーク 尺には尺を/終わりよければすべてよし

新国立劇場 ダークコメディ交互上演

「尺には尺を」

「終わりよければすべてよし」

2023年10月25日(水)

「尺には尺を」公演終了後シアタートークの目次です。

出演:鵜山仁、岡本健一浦井健治、中島朋子、ソニン

司会:中井美穂

シアタートーク①

シアタートーク②

シアタートーク③

シアタートーク④

シアタートーク⑤

シアタートーク⑥

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