母と娘の推し活日記

映画と舞台とエンターテイメントまみれの日々

尺終:シアタートーク⑤

2023年10月25日 新国立劇場「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」

シアタートーク

(この座組、カンパニーは劇団のようですね、という話)
岡本:(つくづく)劇団じゃなくてよかった(笑)。

山:木下(浩之)さんが(制作発表)会見で「遠距離恋愛」と言っていた。その感じ。

岡本遠距離恋愛はしたことないけど(笑)、みんなそれぞれの場所で頑張って、作品のためにまた集まって、余計なことを考えずに作品のことだけを考えていられる。

松岡(和子)さんが言ってた「パワハラ、セクハラ、どっきりカメラ」これってもう今、演劇でしかできないでしょ? 舞台の上では何をやっても、とりあえず捕まらない(笑) だってシェイクスピアが書いたんだし!って(言っておけばいい 笑) だから舞台が好きなんだよね(笑)。

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中井:浦井さんは、この座組のシェイクスピアシリーズ(に参加したこと)が、大きな転機になったのでは?

浦井:そうですね。「終わり」は、(父の)お葬式のシーンからスタートするんですよね。そのシーンで(母親役の)那須さんが、(中島)しゅうさんの塗香(ずこう)をつけてきたことがあって。その匂い、香りをかいだ瞬間、全部ぶわーっと思い出して。いろんな景色が見えてくるんです。体感としてそういうことはありましたね。

塗香塗香は粉末状にされた香原料を調合したお香。仏事やお葬式のときに体を清めるためにつける

感覚をシェアできる安心感

中嶋:(このカンパニーのメンバーそれぞれが)節度をもった大人のひとたちなんですよね。年数を重ねているので、言いたいことはちゃんと言ってくれる。言いにくいことも上手に伝えてくれる。そうやって助けてくれるし、あのときのあれさあ、と(思い出や感覚を)シェアできる。安心感があるんですよね。

ソニン:私は鵜山カンパニーは14年ぶりで。あのときはあふれんばかりのエネルギーがあったと思うんですけど、その間に健ちゃんとは別の作品で会ったりして、また今回戻ってこれて。

それまで客席で観てて、なんで私はここにいないんだろう、なんて思ってたんですけど、(このカンパニーでの最初の舞台)「ヘンリー六世」のメンバーだったことが、本当に誇らしくて。あのときは11時から夜の10時まで劇場にいました。でもここで芝居ができていること、劇場にいる自分が嬉しくて、この人たちと芝居ができているのが本当に楽しくて。

イザベラのように慈悲を持って、自分は何ができるだろう、って考えられる。このカンパニーは慈愛がすごい。豊かだなって。この劇団のようなカンパニーにいられることが本当に楽しくて毎日が幸せです。

→シアタートーク⑥に続きます。